A-Z会計事務所 |
● 戸田 雅隆 税理士事務所 |
● 戸田 健太郎 税理士事務所 |
〒561-0802 |
大阪府豊中市曽根東町
6丁目4番30-201号 |
TEL:06-6862-7795 |
FAX:06-6863-3952 |
http://www.a-zkaikei.com |
Email : a-z@tkcnf.or.jp |
Googleマップで周辺を確認
|
小説 『重加算税』 ≪ 第3章 売上除外・U ≫
−第 22 話 ( 4 9 )−
第21話 ( 統計 ) にもどる
今日の松島は調子が良かった。
パチンコの基礎は 『 統計学 』 である。 統計学を基礎にした確率論である。 胴元のパチンコ店とは勝負しない。 昼間負けた客の上がりを夜に頂けば、確率は相当上がる。
これさえ解かれば勝ったも同然である。
日曜日の夜 7時のスタートである。 相当打ち込み確率が上がっている台を狙うのである。
松島の台は、さっきから確率変動の連続である。 ドル箱の山である。
すっかり調査のことは忘れている松島である。
偶然とは恐ろしいものである。
確率変動が終わった時ちょうど 9時であった。
店内には 9時の店内放送が流れた。
「 いらっしゃいませ ! いらっしゃいませ
! 本日は数ある遊技場の中から、 『 CCC
』 に御来店いただき有難うございます。 可愛いあの子は口まかせ、パチンコは腕まかせ。 でます出します。 1番台
『 新海物語 』 から、 『 宇宙戦艦 ヤマト
』 ・ 『 ウルトラマン 』 ・・・・・ 最終台まで、全台
204台、最終時間まで出しまくります。 」
今日の松島の勝ちは、 4万 2,500 円である。
松島は上機嫌で帰宅の途についた。
ついつい帰りの自転車も軽く、鼻歌も出てくる。
その内松島は、パチンコ店の店員になっていた。
「 いらっしゃいませ ! いらっしゃいませ
! 本日は数ある遊技場の中から ・・・・・・
全台 204台、最終時間ま ・・・・・・ 」
「 ・・・・・ 」
「 ・・・・・ 」
松島の顔が真顔になった。
「 全台 204台 ・・・・・ 」
「 204 ????? 」
「 204 !!!!! 」
「 これだ !!!!! 」
次の日、松島は毛利を呼んだ。
「 毛利、 『 CCC 』 のパチンコ台数は何台だった。 初日に把握していただろう
? 」
「 315 台です。 」
「 315 台 ? 」
「 なんで ? 315台だ ? 」
「 だって、最終台の番号が 315 でした
・・・・・ 」
「 もう一度、台の数を数えて来い。
」
毛利は渋々出かけて行った。
「 315 番に間違いないのに ・・・・・
ちゃんと台の番号は見ているのに ・・・・・
」
ブツブツ言いながら、毛利は 『 CCC
』 に到着し、客の振りをして台を数えた。
「 1番台 、 2番台 、 3番 、 5番 ・・・・・
あれ ? 4番が無い ! 」
「 6番 、 7番 、 8番 、 10番 ・・・・・
9番も無い ! 」
「 31番 、 32番 ・・・・・ 37番 、
38番 、 50番 ・・・・・ あれ ? まぁ
! 40番代は 1台も無い ! 」
「 81番 、 82番 ・・・・・ 87番 、
88番 、 100番 ・・・・・ 90番代も無い ! 」
「 そうか ! 4 と 9 が付く数字の台番はないのか ・・・・・ 」
「 これは、 1台ずつ数えるしかないな !
」
「 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・・・・・ 200 ・ 201 ・ 202 ・
203 ・ 204 ・・・・・ 204台だ ! 」
署に帰った毛利は、松島に報告した。
「 台は 204台です ! 」
「 そうか ! やはり 204台か ! 」
「 解ったぞ ! 」
「 コンピューターに、 『 アウトプットの段階で、サンドイッチの売上を
1,000 円引いて印字せよ。 』 とプログラム変更しているのだ。
」
「 へぇ 〜 、知らなかったなぁ ・・・・・
店内で可愛いお姉ちゃんが、コーヒーを売っているのは知っていたが
・・・・・ 『 サンドイッチ 』 も売っていたんですか
? サンドイッチは私と一緒でいい男の 『 ハムサンド
』 ? パチンコに勝つで 『 カツサンド 』
ですかねぇ ? 」
「 ・・・・・ 毛利 ・・・・・ 」
「 『 サンドイッチ 』 とは、台と台の間にある玉貸し機のことだ。
」
「 昔は入り口付近に玉貸し機があって、そこで玉を買って、台まで行って遊んでいたが、
25年位前から、台と台の間に現金を入れる機器を設置して、直接現金を入れれば台に玉が流れてくる方法になったのだ。 この機器が台と台に挟まれているから、
『 サンドイッチ 』 というのだ。 」
「 当初は、 100円玉を入れていたが、その後
500円玉となり 1,000円札となった。 現在は、
1,000円札から 10,000円札まで使えて、カード形式になっているが
・・・・・ 」
小川が横から口を出した。
「 204台で 1台当たり 1,000円抜けば、 1日
204,000円の売上除外か ! 確かに 2種類の売上レシートの差額に一致する
・・・・・ 」
「 しかし、内偵調査で把握した売上レシートの中に
203,000円の差額のものがあったが ・・・・・
これはどう説明する、松島。 」
「 ・・・・・ 」
毛利が答えた。
「 今日は 204台のう内 203台だけ抜け ! とプログラム変更したのでは
? 」
「 それはない ! 」
「 そのように毎日プログラムを触れるなら、何も
204,000円にしなくても、 200,000円ちょうどにするだろう。
」
「 やはり、 『 1台 1,000円抜いて印字せよ。
』 だ ! 」
「 しかし、それでは 203,000円が説明できない。」
「 ・・・・・ 」
松島のパチンコ経験が閃いた。
「 いや、説明できる。 その日は台が
1台故障か何かで、
『 調整台 』 として動いていなかったのだ。 故障台のサンドイッチには、誰もお金を入れない。 売上の無いサンドイッチに、
『 1,000円引いて印字せよ。 』
と言っても、
0 は 0 だ。 」
パチンコ店に行くと、結構 『 調整台 』 の張り紙がしてある台を見かけるものである。
松島は、このたった 1枚の 203,000円の売上レシートが、決定的な証拠になる予感がした。
第23話 ( 村田 ) につづく
* 登場する人物、団体等の名称及び業界用語は架空のものです。 |
|