A-Z会計事務所 |
● 戸田 雅隆 税理士事務所 |
● 戸田 健太郎 税理士事務所 |
〒561-0802 |
大阪府豊中市曽根東町
6丁目4番30-201号 |
TEL:06-6862-7795 |
FAX:06-6863-3952 |
http://www.a-zkaikei.com |
Email : a-z@tkcnf.or.jp |
Googleマップで周辺を確認
|
小説 『重加算税』 ≪ 第3章 売上除外・U ≫
−第 23 話 ( 村 田 )−
第22話 ( 49 ) にもどる
次の日、松島は毛利を連れて開店直後の 『
CCC 』 に行った。
松島は、開店と同時に毛利に指示して、特定の台に現金を投入させた。
一方松島は、店長を連れてコントロール室に入った。
「 店長、今現在の台ごとの売上一覧テープをアウトプットしてください。
」
「 えぇ ? 今開店したばかりですよ。 」
「 いいから、お願いします。 」
「 はぁ ・・・・・ はい。 」
松島の推測が正しければ、毛利が現金を入れた台の金額が
1,000円少なく印字されるはずである。
携帯電話で毛利に指示をしながら、松島は息を呑んで店長にアウトプットさせた。
「 松島さん、 205番台に 3,000円、
206番台に 2,000円、 207番台に
3,000円です。 それから、 208番台の男性客が
2,000円入れたのを確認しています。 」
「 分かった。 」
松島は、店長が印字する売上テープに目を凝らした。
テープには次々と台の番号と売上金額が印字されてきたが、
1番台から印字されるため、なかなか 200番代にならず、イライラしてきた。
「 くそ、毛利の奴、若い番号の台を選んでお金を入れろ
・・・・・ 」
松島の心臓が高鳴り始めた。
187番 ・・・・ 188番 ・・・・
200番
・・・・ 201番 1,000円 ・・・・
202番 0円 まだ客なし
・・・・ 203番 0円 ・・・・ 205番
3,000円 ・・・・ 206番 2,000円
・・・・ 207番 3,000円 ・・・・
208番
2,000円 ・・・・・
「 おかしい ・・・・・ 」
横で見ていた店長は、すでに松島の意図を読んでいた。
・・・・・ ここまで税務署は気が付いたか
・・・・・
店長は、自分からは懺悔できなかったが、心の底では松島に共感し、応援したいという不思議な感覚に囚われていた。
「 毛利、もういいから奥の事務所に来い。
」
その時、毛利が叫んだ!
「 松島さん 〜 大変です ! 」
「 何んだ ???? 」
「 大変です。すぐ来てください。 」
・・・・・ 毛利が何か大変な発見をした。 ついにあのオトボケ毛利が脱税を見つけたか
? ・・・・・
松島は、大急ぎで店内に走った。
慌てて毛利の所に行く。
「 どうした ! 毛利。 」
「 まぁ松島さん ! 大変です。 最初の回転でフィーバーしてしまいました
・・・・・ 」
「 ・・・・・ 」
いつもなら 「 俺に貸せ ! 」 と言う松島であったが、今はその気分ではない。 先ほどのアウトプット金額の方がショックである。
「 誰がパチンコしろと言った。 お金を入れろと言っただけだ。 職務中にパチンコをしてどうする。
」
「 でも ・・・・・ お金を入れて玉だけ出しても
・・・・・ それも、 3台も ・・・・・ 営業妨害ですよ
・・・・・ 」
言い訳をしながら、それでも毛利の手はパチンコを続けていた。
松島は、毛利を無視して事務所に消えた。
「 店長、さっき出していただいたアウトプットテープをいただけますか
? 」
「 えぇ ・・ いいですよ。 」
じっ〜とテープに見入る松島であった。
・・・・・ 各台の金額が動かないとしたら、合計金額だけ減らして印字しているのか
? ・・・・・
松島は、わざわざ台ごとの売上金額を計算機で足してみたが、合計は正しかった。
・・・・・ そうか。 正しい金額も印字する必要があるから・・・・・切り替えスイッチがあるか
・・・・・ 操作方法があるか ・・・・ だ !
「 店長、コンピューターのマニュアルを出してください。
」
「 マニュアルですか ? 」
店長は、ロッカーの中から分厚いマニュアルを出してきた。
松島は、その厚みを見ただけでぞ〜としたが、顔には出さなかった。
まず、機械のスイッチ関係の位置と操作を確認した。
例の 『 割り数チェッカー 』 は見つかったが、それ以上は発見できなかった。
次に、操作編に注目し、キー操作による切り替えを探したが、どうしても見つけることはできなかった。
店長の村田は、今、事務所には松島と 自分しか居ないことを確認して、神妙な顔で静かに語りかけた。
「 松島さん ・・・・・ 今は無駄だと思いますよ
・・・・・ 」
「 店長、どういうことですか ? 」
「 松島さん、私にも家族がいます。 2人目の子供が生まれたばかりです。 女房は出産したばかりでまだパートには出られません
・・・・ 」
「 ・・・・・ 」
「 ノートのことですか ? 」
「 ・・・・・ 」
「 ・・・・・ 」
松島は、ノートを根拠として社長を攻めざるを得ないかどうか
・・・・・ 心の中でず〜と葛藤していたのであった。
常に、店長村田の受ける処分を考えていたのである。
松島は、今の段階でノートのことをどのような形で会社に暴露し、追及するか村田には言えなかった。
心では、 「 ノートのことは黙っていてやるから、知っていること喋れ。
」 と言いたいが、今の段階ではノートのことを社長に言わないとも約束できない。
「 松島さん ・・・・・ これ以上コンピューターを操作しても、今は無駄ですよ。
」
村田の言い方は、反発する言い方ではなく、物静かに松島に何かを伝えようとするものであった。
その言葉の意味を松島は、敏感に感じ取った。
「 村田さん、今は ? 無駄ですか ? ・・・・・ 以前は何かあったが
・・・・・ ? 」
松島は 『 店長 』 と言わず、 『 村田さん 』 と言葉を変えた。
「 ・・・・・ 」
「 以前、最期の 『 エンターキー 』 の変わりに
『 タブキー 』 を押すと、違った金額を打ち出すことがあったそうですよ
・・・・・ 」
「 そうですか ・・・・・ 」
「 以前の話ですが ・・・・・ 」
「 以前の話ですか ・・・・・ 」
それ以上質問をしない松島であった。
そこに毛利が入ってきた。
手には景品を一杯持っていた。
「 いやぁ 〜、 勝っちゃいました。 」
第23話 ( 題名未定 )につづく・・・・・少しでも早い掲載に努力
* 登場する人物、団体等の名称及び業界用語は架空のものです。 |
|